ラモーンズ・ファンなら誰もが気になるリフ・ランデルスというバンド名。さぞかし映画『ロックンロール・ハイスクール』を見まくっていたのかと思いきや意外な答えが?!(笑)。「カナダは保守的でガールズ・バンドはほとんどいない場所なの」と、静かに礼儀正しく語る彼女たちだからこそ、元気一杯にハジケた映画の主人公リフ・ランデルスに憧れたのかも…と思えたインタビューでした。

●ラモーンズを初めて聴いたのはいくつの時?

── アン・マリー(Ds):随分小さい頃だから、15〜16歳あたりだと思う。

── キャシー(G&Vo):私は13歳ぐらいの時かなぁ。

── キャロライン(B):私は18歳の頃ね。

●最初に聴いたのは、どのアルバム?

── 全員:もちろんファースト・アルバムの『ラモーンズ』。

●あなた達がラモーンズを聴いていた当時、他にはどんなバンドが流行ってたの?

── キャシー:既にいろんなバンドがいたけど・・・ラモーンズの他には、グランジ・ロックのニルヴァーナとか、ALLとか、もっとポップなパンクかしら。

●なぜこの質問をするかというと、ラモーンズはヨーロッパではビッグ・バンドだったのに、アメリカやカナダでは大きな人気があるバンドとは言えなかったから。だから、カナダではどれくらいのキャパの会場でラモーンズはプレイしていたのか、人気ぶりを聞きたかったからなんだけど。

── アン・マリー:でも、バンクーバーではかなり大きな会場で演っていたわよ。

── キャシー:1,500人くらいのキャパだったと思うわ。

── キャロライン:そうね、1,500人〜2,000人未満ね。

── キャシー:でも、ライブは見たことがないのよね。

●えっ? 本当に?

── アン・マリー:(全員で)ノー。

── キャシー:バンクーバーに来た時、見に行けたらよかったんだけど、私たちがあまりにも子供だったから(笑)。残念だわ。※ちなみに彼女たちは今平均28歳。

●バンド名の由来でもある映画『ロックンロール・ハイスクール』を最初に見たのはいつ?

── キャシー:TVで放送しているのを見たんだけど、幾つだったかなぁ、15歳ぐらい?

── キャロライン:私はまだ全編見たことがないの! なぜだか知らないけど(笑)。

── 全員:ええー(笑)。

── キャロライン:見たいのよ!(笑)

●“リフ・ランデルス”のメンバーなのに?(笑)

── キャロライン:そうなの。信じられないわよね(笑)。

── キャシー:うちにコピーがあるから貸してあげるわよ。

── アン・マリー:私は18歳の時に見たわ。

●18歳の時って何年のこと?

── キャシー:1998年。

●若いー(笑)。TVで放映されているのを見たの?

── キャシー:ううん、その時にはビデオを持っていたの。

●最初に映画を見た感想は?

── アン・マリー:とても気に入ったわ(笑)。

── キャシー:面白かったし素晴らしいと思ったわ。学校があんなことになるなんてサイコー(笑)。

●リフ・ランデルスのキャラクターに一番近いメンバーは誰?

── アン・マリー:んー、キャロライン!

── キャロライン:え? 私が何ですって?

── キャシー:彼女がリフ・ランデルスのキャラクターに一番近いメンバーよ!

── キャロライン:(嬉しそうにうなずいている)。

── キャシー:彼女が一番社交的だし、キュートなファッションだし(笑)。

●今日のあなたたちのファッションは、どっちかというと保守的というか、あまりパンクな感じではないのね。リフ・ランデルスっていうだけに、もっとピンクだったり派手なイメージで登場するのかと思っていたんだけど。

── アン・マリー:カナダのお国柄なのか、みんな保守的なファッションになるみたい。東京なら派手な格好でもクールと言ってもらえるかもしれないけど、カナダでそのファッションは浮いてしまうのよね。

●アメリカと近い国だしもっと自由なのかと思ってました。ところで曲名をバンド名にする人は多いけど、映画の主人公をバンド名に決めたのは誰のアイデア?

── キャシー:私の提案よ。彼女のことが大好きだし、クールだと思ったから。

●リフ・ランデルスになってみたいと思いますか?

── キャシー:もちろん。大好き(笑)。

●『ロックンロール・ハイスクール』は、リメイクされる予定があるけど出演してみたいと思う?

── キャシー:えっ? リメイクされるの?

●ええ、ハワード・スターンというアメリカで有名なDJの手で。

── アン・マリー:えー、それはクレイジーね。

── キャシー:んー、なんか変なの〜。

●変? それはなぜ?

── キャロライン:彼はラジオDJだし、パンク・ロックに深く関わる人物とは思えないから。

── アン・マリー:出演者は誰なの?

●まだ決まっていないので、あなたたちはどうかと思ってるんだけど(笑)。

── アン・マリー:えー! 恥ずかしい!(笑)。

── キャロライン:私ならやるわ。

── キャシー:オーディションを受けないとね(笑)。

●リフ・ランデルスがピッタリだと思うので、アピールしてみては?

── キャシー:無理、無理(と言いながら照れる)。

●リフ・ランデルス個人を演じてみたいと思いませんか?

── キャロライン:おもしろいわ。きっとうまくできないと思うけどやってみたい(笑)。

── キャシー:演技の経験はある?

── キャロライン:ある!

── アン・マリー:私は脇役でいいわ(笑)。

●先ほどラモーンズのライブを見たことがないと言ってましたね。

── キャシー:そうなの、残念なことね。あまりにも若すぎたから。

●メンバーと接触したことはあるの?

── キャロライン:ノー、ノー、会いたかったわ!

── キャシー:私はミスフィッツでドラムを叩くマーキー・ラモーンなら見たことがある。

── キャロライン:メンバーが亡くなる前にCBGBには行ったけど。

── アン・マリー:それに、私たちCBGBでプレイもしたのよ。

●いつですか?

── キャシー:2001年だったかな。

●マーキーやCJとプレイしたいと思いますか?

── キャシー:もちろんよ。一緒にできたら嬉しいわ。

●FCは近い将来、CJを日本に呼ぶプランを計画中なので、いろんなラモーンズ好きのバンドが集まるといいなと思っているところなんです。まだ夢のような話だけど。

── キャシー:私たちが行くわよ!(笑)

── アン・マリー:また日本に行ける理由ができたわ!(笑)

── キャロライン:素晴らしいアイデアだから実現するように祈ってるわ。

●リフみたいにラモーンズに曲を提供しようと思ったりは?

── キャシー:うーん、考えたことはないけど…。

●なぜ?

── キャシー:たくさんの人たちが曲を送ってて音楽だらけだと思うし・・・

●そんなことないと思いますよ。リフ・ランデルスと名乗るからにはラモーンズに曲を送るべきですよ。

── キャシー:そう思う?

── キャロライン:でも、もう死んじゃったしね。

●CJやマーキーがいますよ。

── キャシー:じゃあ、送ってみようかしら(笑)。

── アン・マリー:『ロックンロール・ハイスクール』の監督宛に、友達が私たちの曲を渡してくれたことはあるわ。クールでしょう?

●ええ(笑)もっとアピールするべきだと思うけど。ラモーンズの曲をカバーしたことはある?

── キャシー:まだカバーしたことはないわね。

── アン・マリー:ラモーンズの曲は大好きだけど、あえてカバーしていないの、(バンド名からして)当たり前すぎると思うから。カバーするのはいつも女性ボーカルの曲ばかりなのよ。

●たとえば、どんなバンドの曲をカバーしてきたの?

── キャシー:B・ガールズ、ニッキー・コルベッツ・・・

── アン・マリー:リトル・ガールズ、ジムスリップスあたり。全部女性ボーカル。

●ラモーンズのアルバムは全て聴いたことがありますか? その中でも一番好きなアルバムは?

── 全員:ファースト・アルバム!(笑)

── アン・マリー:素晴らしい作品だもの。あなたのお気に入りは?

●私? (笑) 私は3枚あって、ファースト・アルバム、『プレザント・ドリームス』、それから『トゥー・タフ・トゥ・ダイ』。無人島へ行く時に持って行きたいタイプが違う3枚ってとこかな(笑)。あなたたちはどう?

── キャシー:3枚? そうね、『サブタラニアン・ジャングル』も好きだし、3枚目はわからないわ。

── キャロライン:とにかく全部いいわよね(笑)。

●もしリフ・ランデルスがラモーンズに曲を提供するチャンスがあるとすれば、自分たちのどの曲を選びますか?

── キャシー:えーと、「トゥレイター・オブ・ザ・ハート」

── アン・マリー:「ダブル・クロス」

── キャシー:「ホウェン・ヒー・ルックス・アット・ミー」

── アン・マリー:そうね、以上3曲(笑)。

●ラモーンズの曲にインスパイアされて書いた曲ってある?

── キャシー:全部(笑)。ラモーンズ・ソングはいつ聴いてもパーフェクトだし、いつも彼らの曲を思い浮かべながら曲作りをしてるわ。

●他の映画(『エンド・オブ・ザ・センチュリー』『トゥー・タフ・トゥ・ダイ』)は見ましたか?

── アン・マリー:とっても良かったわ。

── キャロライン:ドキュメンタリー映画?

── アン・マリー:そうそう、DVDを買って見たわ。

── キャロライン:まだ見てない。

── アン・マリー:貸してあげるわよ。

●感想は?

── アン・マリー:最後のディー・ディーが去っていく場面は悲しいけど、素晴らしい作品だったわ。

── キャシー:バンの周りに大勢のファンが群がるシーンも最高よね。

●「KKK」の曲の由来は知っていましたか?

── キャシー:うん、アン・マリーが教えてくれたから(笑)。

●どう思いましたか?

── アン・マリー:ドキュメンタリーを見て知ったのか本を読んで知ったのか覚えていないけど・・・映画でその部分にも触れていたかしら? 言い伝えになっているわよね。18年も口をきかなかったなんて信じがたいわ。

●そんなシチュエーションを理解できますか?

── キャシー:他のバンドにいた時にメンバーと喧嘩して4ヶ月口をきかなかったことはあるけど、今は仲良しよ(笑)。

●4ヶ月(笑)。ラモーンズの場合は長期に渡ってですからね。

── アン・マリー:もし誰かを嫌いになったら一緒に音楽をやりたいなんてフツーなら思えない。

── キャシー:私の場合は、ツアー中に喧嘩して、その後に3回ライブしたけど話もしなくなってプレイできなくなって・・・でも間違いに気付いて仲直りしたの。彼らは、お互いに嫌い合っていることが公になっていたし、どうしようもなかったんでしょうね。

●日本ではあの曲のことは知られていなくて、映画で暴露されてファンがショックを受けることになりました。でもジョニー・ラモーンは「ファンが大好きな曲だからやる」と納得してましたよ。

── 全員:マジでー!(笑)。

●私も驚いたけど、彼は常にファンが一番という考えを持っていました。ファンがどの曲を好きで、ファンがどうしてほしいか、常に考えて行動していました。

── アン・マリー:プロフェッショナルね。

── 全員 : (うなずく)。

●日本ではその状態が理解できない人の反応も多いんだけど、あなたたちはジョニーの考えは理解できるのですか?

── キャロライン:ええ、出来るわ。プロフェッショナルよ。人の彼女を獲るなんてむかつくけど、それでもかっこいいと思うわ。ハード・ワーキングだったしね。

── アン・マリー:常に双方のストーリーが存在するから、ジョニー側の言い分もあるわけだし。

●そうですね。映画は2本とも見ましたか?

── アン・マリー:1本は持っているし、もう1本はツアー中に見たと思うわ。

●どのメンバーが好きですか? ジョニー? ジョーイ?

── キャシー:私はジョニーとディー・ディー。

── アン・マリー:私は繊細なジョーイが好き。ナイスだし素敵。

── キャシー:ディー・ディーのどこがいいってクレイジーなところ!(笑)

── キャロライン:私もディー・ディーが好き。ジョニーはタフだし、とにかく全員が好き!誰か一人を選ぶのって難しいわ(笑)。

●来日は何回目ですか?

── キャシー:2回目。

── キャロライン:私は初めて。

●日本はどうですか?

── キャシー:大好きよ!

●日本食はどうですか?

── キャロライン:アン・マリーと私はシーフードOKのベジタリアンで、時々困ることもあるけど、日本食はとてもおいしいわね。大阪でサイコーのお寿司を食べたわ。

●お刺身は大丈夫なのですか?

── アン・マリー:うん、サーモンとマグロが好き。完全菜食主義者ではないの。

── キャシー:私はマッシュルーム以外なら何でも大好き。

●ショッピングはしましたか?

── キャシー:昨日レコードを買ったわ。カナダではなかなか手に入らないレコードが日本では手に入るわね。

●どのレコード屋へ行ったのですか?

── キャシー:バナナ・レコーズ。90年代の音楽をたくさん買ったの。

●何枚ぐらい買いましたか?

── キャロライン:LP3枚に7インチ1枚。

── キャシー:私は(いま着ている)このジャケットを買ったわ。東京のヴィンテージ・ストアで(笑)。あとは赤い靴を何足か。

●カナダと比べて高くないの?

── キャシー:革のジャケットは100ドルぐらいかな。

── キャロライン:私は広島でブーツを買ったわ。

●広島でのショーはどうでしたか?

── キャシー:とっても楽しかった。

●昨日、対バンの少年ナイフは見ましたか?

── キャシー:うん、大阪でも一緒にやったわよ。

── キャロライン:クールだったし気に入ったわ!

●この先、一緒にプレイしてみたい日本のガールズ・バンドはいますか?

── キャロライン:そうね・・・思いつかないけど・・・

── キャシー:日本でニッキー・コルベッツと一緒にプレイしたい。すっごいクールだと思う。日本のいろんなかっこいいガールズ・バンドとプレイしてきたから、それ以外のバンドは思いつかないわ。

── アン・マリー:それにしても、日本にはたくさんのガールズ・バンドがいるわね。

●ガールズ・バンド以外でもリフ・ランデルスとプレイしたがっているバンドがたくさんいるのに、対バンにボーイズ・バンドを選ぶことはなかなかないですよね。

── キャロライン:ガールズ・バンドが大好きだから。

── キャシー:私たちがバンドを選んでいるわけではないの。プロモーターがアレンジしてくれる。今回はチックス・ライオットっていうガールズ・フェスティバルだったしね(笑)

── アン・マリー:カナダにはあんまりガールズ・バンドがいないから、たくさんのガールズ・バンドと一緒にプレイできて本当に嬉しいわ。

●女の子がバンドやるのってカナダではフツーじゃないのですか?

── アン・マリー:そうね。

── キャシー:アン・マリーや私が住んでいるエリアは五分五分な感じだけど、東海岸へ行くとバンドをやってる女の子なんて滅多にいないわ。

── アン・マリー:だいたいボーカルだけ女の子であとは男の子だったり、ベースだけ女の子だったりという編成。メンバーが全員女の子ってレアなのよ。とはいえ、カナダは人口が少ないからね。東京と同じぐらいの人数しか住んでいない国だと思うわ。

●へええ。カナダは国が大きいので何かイメージが違うなあ。他にどんな国でプレイしてみたいですか?

── キャシー:そうねぇ、スペイン、イギリスかしら。


●行ったことはありますか?

── キャシー:旅行ではあるけど、ツアーはないの。
●日本のバンドもアメリカやヨーロッパをツアーするのが当たり前になってきているから、リフ・ランデルスにももっとたくさんの国をツアーしてほしいですね。

── 全員:(全員でうなずきながら)そうね。

●国によって、ガールズ・バンドがどれくらいいるのかとか、違うのかとか、いろいろと知りたいです。

── キャシー:スロベニアという国へ行ってプレイした時、たくさんの女の子たちが「ガールズ・バンドを初めて見た!」って言ってきてたわね。まだまだガールズ・バンドがレアな国もあるみたい。カナダの小さい町でプレイした時も同じことを言われたわ。国によって違いはあるけど、日本には本当にたくさんのガールズ・バンドがいるのね。

●今回のツアーで見たバンド、スーパースナッズ、少年ナイフはどうでしたか? ロマーンズは?

── キャシー:スーパースナッズは、残念ながらたった今プレイしているところよ(笑)。

── アン・マリー:少年ナイフは良かった。

── キャシー:スーパースナッズは2曲しか見れなかったけど、かっこいいと思う。

●今名前が挙がったので、質問するんだけど、少年ナイフとスーパースナッズ、どちらが自分達のスタイルに似ていると思いますか?

── アン・マリー:スーパースナッズもいいんだけど、スタイルがちょっと違うから少年ナイフね。

●ところで、ガールズ・バンドはどれぐらいの間一緒にやっているの?

── アン・マリー:もう9年かしら。長いわね(笑)。

●OK、質問は以上です。次の来日とアルバムを楽しみにしてます。今日はありがとうございました。

★★



リフ・ランデルス掲載誌『VAMP!』
http://www.gogovamp.com/label_riffrandells.htm

インタビュー / FCスタッフ:カイチョー・ユキ(yuki kuroyanagi)
取材場所 / 東京・吉祥寺にて(2008年10月)
写真 / Sumie(ライブ&アーティスト)
協力 / VAMP! magazine / Peachy Doll Records


テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by (c)yuki kuroyanagi & (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN

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