ラモーンズ・トリビュート・バンドとして、その実力、こだわり共に最強(?!)と噂される話題のDUMB(ダム)。そのDUMBのドラマー、ナス・ラモーン(早朝ピストンズ)とヴォーカルのJ. Ohno(ライダーズ)に直撃インタビュー。DUMBインタビュー<前編>は、地元広島で自ら『ラモーンズ・ナイト』というイベントも開催しているナス・ラモーンのマーキーを師と仰ぐエイト・ビート談義。そのこだわりぶりを、とくとお楽しみくださいませ!!!

●さっそくですが、エイト・ビート・バンドをやろうと思ったきっかけは? 早朝ピストンズはどれぐらいやってるの?

── ナス:10年ですね。23才の時からやってます。ラモーンズ色を打ち出したのは、ここ5年ぐらい。それまでは僕もそんなに本気でやるつもりはなくて・・・エイト・ビートは叩いていたしラモーンズは大好きだったんけど、僕の意見を通すではなく、みんなのバンドみたいな感じ。

●誰がリーダーなの?

── ナス:ボーカル&ベースのヤツがリーダーなんですけど、彼とは高校の時からの付き合い。

●フォレストヒルズ・ハイスクールって感じだねぇ!

── ナス:でも、高校の時ちょっとバンド活動はしてましたけど、その後23才ぐらいまではフツーに生活してて、バンドは一切やってなかったですよ。

●そこもラモーンズに似てる。一番初めのバンドは早朝ピストンズ?

── ナス:オリジナルでやったのは、そうですね。あとはコピー・バンドみたいな感じ。

●音楽は何から入ったの?

── ナス:兄貴がいて、ちょうど80年代のニューウェーブというかデュラン・デュランやクイーンや、そのあたりから入って全般的に。当時はイギリス勢が強かったみたいで。

●80年代は何才?

── ナス:中学生ですね。音楽はそんな感じでブルース・スプリングスティーンとか、『ベスト・ヒットUSA』主流な感じですね。

●で、お兄さんもそれを聴いてたの?

── ナス:そうですね。時代はメタル・ブームだったんですけど、なぜか兄貴はパンクを目指してたみたいで。

●ピストルズも終わってからの後追いで聴いたってことだね?

── ナス:そうですね、後追いで。

●じゃあ、パンクはピストルズから入ったの?

── ナス:そうです。

●その時にビビっときた?

── ナス:きましたね、かなり。

●その次はクラッシュ?

── ナス:クラッシュはあまりピンとこなかったですね。

●へえ、そうなんだ。じゃあ次は何だったの?

── ナス:次は・・・何だったろう? 日本のパンク・・・ブルーハーツとか。スタークラブやライダーズもそうだし、コブラやラフィン・ノーズとかに完全にやられたって感じです(笑)。

●ドラムをやろうと思ったのは、ブルーハーツ(の梶さん)のエイト・ビートを見て? ブルーハーツはジャパニーズ・パンクからちょっとはずれる感じだけど。

── ナス:僕は(ブルーハーツは)ファーストだけなんですよね。でも、エイト・ビートに引き合わせてくれたのは梶さんのドラムですね!

●へえ。そこからラモーンズには直結しなかったの?

── ナス:そうですね、ラモーンズを初めて聴いたのは・・・アシッド・イーターズ・ツアーで。その時初めて見に行ったんですよ大阪のIMPホールに。94年とラスト・ツアーの2回。まぁ、見とかないといけないなぐらいの軽い気持ちで。で、そこでやられたんです生ラモーンズに(笑)。

●それがファースト・インプレッション?

── ナス:そう。もちろん!!

●あ、ラモーンズとかファン・クラブに気使わないでしゃべっていいよ(笑)。その頃はバンドやってたの?

── ナス:ちょうどやめてた頃ですね。やってたのは大したことなくて、誘われたんでじゃあやってみようかなってくらいの軽いノリ。

●早朝ピストンズの他の2人は何を聴いてるの?

── ナス:ヤツらは、もろジャパニーズ・パンク世代。スタークラブ、ライダーズなパンクス。

●趣味と反比例してみんな穏やかな雰囲気の人達だよね(笑)。ナス君は、生ラモーンズにやられたけど、あとの2人はラモーンズを見てるの?

── ナス:いや、あの2人は見てないです。僕がラモーンズを植えつけたって感じです。「エイト・ビートは絶対にラモーンズだぞ!」って。

●地元広島で『ラモーンズ・ナイト』というイヴェントを開催しているようだけど?

── ナス:あれは、ジョーイが亡くなったのがきっかけですね。追悼のつもりでやったんです。で、出てもらうバンドには、最低1曲はラモーンズのカバーを演ってくれと言って。やってみたら凄い面白かったから、シリーズ化しようという流れになって・・・まあ、自分の趣味の延長みたいな感じ(笑)。

●ジョニー・ラモーン継承のTsukasa氏(元フィフィ&ザ・マッハIII、以下マッハ、現フォーチューンズ)が弾いて、ナス・ラモーンが叩いてって聞いて楽しそうだなあ(笑)。

── ナス:ラモーンズのそういうグルーブ的なところに注目させてくれたのは、マッハの人達なんですよ。

●Tsukasa氏とはいつ出会ったの?

── ナス:僕は単純にマッハのファンだったんです。1+2 RecordsからCDが出てて、フツーにシングルとか買って、「わー、かっこいい!」と思ってた。で、友達が北九でマッハと対バンやるって言うんで、初めて見に行きました。たぶん10年近く前の話ですね。でも当時は申し訳ないですけど、ドラムもすごいショボイ人で。実際に見たら倒れるぐらい「何だよ、そのエイト・ビートは?!」みたいな感じだったんですよ。で、僕にとって(マッハは)アイドルなんで、終わったらすぐに自分のCDを持っていって、「こういうのやってるんで、広島に来てください」って話して、そこからフィフィ&ノリー夫妻と仲良くなり繋がりができた。そのころちょうどマッハはメジャー移籍の頃で、Ohnoさんともやっていた東川さんがアルバム2枚で叩いてます。僕からしたら最高です。かなり影響受けましたね。

●私達もナス君のドラムを見るまでは、日本人でエイト・ビートにこだわっている上手な若い子は見たことがなかった。なかなかいないよね?

── ナス:いないです。難しいですからね、エイト・ビートは。強いて言えば、ただ一人現役エイト・ビーターの中で凄い影響を受けた人がいます。ディスガスティーンズとヘッドバンガーズのドラマーGYUさんと言う人、でもちろんエイトも凄いんですがドラム自体の表現力が凄くて自分の今のドラミングに多大なる影響を与えてくれました。

●いるのかも知れないけど、自分が見てる中にはいないから、「凄いな!」と思った。

── ナス:まだまだですね、僕は。別に鍛錬した覚えもないし(笑)、気が付いたら速かったみたいな感じ。それで僕がマッハに加入かという話にまでなった入れたんですよ。僕はマッハが大好きだったし「僕でいいんですか?」って信じられなくて。1回ライヴやってみようかって話になって「僕でいいなら!」って叩きました。そしたら、もう周りの評価も凄いよくてフィフィさん達も「こんなにキレイに演れたの初めてだ!」みたいな話に・・・。

●ヘッドハンティングだね。

── ナス:僕も「好きなバンドで叩けるなら!」って。

●それはヘルプだったの?

── ナス:ヘルプです。早朝ピストンズもあったし、僕らも広島で月に1〜2回やるぐらいのペースなんで。

●プロになろうとかいうのはないの?

── ナス:別にないです。

●もったいないね!

── ナス:(笑)。

●今日のライヴを見ながら、「何でプロになろうと思わなかったのかなぁ」って思いました。

── ナス:自分のやり方でずっとやってきたんで。ピストンズの音が大好きだから、ピストンズでやっていけるんならいいですけど、他のバンドでは考えてないですね。

●でもピストンズは全員、別にプロ志向じゃないんでしょ?

── ナス:いや、ちょっとは欲みたいなのがあるようですけど。ただ自分たちでリリースしていけるのが一番いいスタイルだなと思ってるから自分らで常に出しているんですけど、なかなか届かないですね、広島から。

●届かないから問題なんだよね。

── ナス:そうです。で、まあ、僕からしたら今これ(DUMB)やってるのも、自分達のいい宣伝かなと・・・。

●プロモーションでしょ? いいんじゃない?

── ナス:そうそう、そういうのが大事かなと思って。僕らは最高のモノを出してるって意識があるんですよ。

●いいと思うよ。私達を始め、出てきてくれないと知る機会もない。だから今こうやってDUMBで知って話きいてるんだけど、これがきっかけになる。早朝ピストンズは何枚出してるの?

── ナス:正式には2枚。5〜6年前の古い音源はあんまし聴かせたくないっす(笑)。最新アルバムの音が出来次第音送りますよ。あれは凄く聴いてもらいたいです。

●Ohnoさんに会ったのはいつ? DUMBをやろうというきっかけはいつなの?

── ナス:おととし(2005年)初めてライダーズと対バンできるからと、大洲(愛媛県)のライヴハウスまで行ったんですけど、リハの時にOhnoさんがもの凄い、くいついてきたんですよ。ギターはモズライトだし俺はエイト・ビート叩くし「こんなバンドいたんだ」って。打ち上げで、Ohnoさんとラモーンズの話で凄い盛り上がって「一緒に何かやれたらいいね」みたいな感じで別れました。それが10月ぐらいの話だったんですけど、年が明けて連絡があって「一緒にやらないか?」って話をされました。それが昨年(2006年)の話。まだライダーズは活動していたけど、本人の中では活動停止しようと決めた時期だったみたいで。それから4月に僕はレコーディングのために一人で東京に来て、一日で15曲録って帰りました。四ツ谷のスタジオへ一人で行ってやったんですよ。結構一発でバンバンバンって決まりました。

●ドラムは一発録りで、カンペキだって聞いたよ。で、間がずいぶん開いたんだ?

── ナス:本当は、昨年の9月ぐらいに出そうって言ってたんですよ。

●叩いたのが4月で9月に出そうとしてて・・・で、やっと。

── ナス:「色んな人がやりたい、やりたいって言ってくれてるんだよ」で、「それはお任せします」みたいなノリ。まぁ、確かに色んな人のスケジュールが合わなくてチョコチョコあったみたいだけど。

●じゃあ、ホントに最近のことなんだね。

── ナス:そうですね。で、昨年(2006年)10月の話は知ってますか? ライダーズで僕が叩いたんですよ。大阪でメインのイヴェントがあるけどドラムの人がケガしたっつって、イヴェント当日の昼頃に泣きそうな声で電話がかかってきて急に呼ばれました(笑)。「頼む。来てくれ」って、Ohnoさんのあんな声聞いたことなかったです。

●その日に呼ばれて行って、よく叩けるね。

── ナス:何とか(笑)。ライダーズは大好きなんで。

●今回DUMBはやってみてどうだった? 楽しい?

── ナス:楽しいですね。僕はラモーンズに関してはピストンズとは別で、何か残したいなと思ってたんで、これで結構残せたなっていう気持ちはあります。

●OhnoさんがDUMBでまだやっていきたいって言ったらどうする? 両立するの?

── ナス:それはちゃんと話して、もう9月ぐらいで解散するってことにはなってます。

●また声かけられるかもよ?

── ナス:かも知れないですけど(笑)。でもまぁ無理っすよ。ライダーズを僕がやるわけにはいかないんで。それにやっぱ、自分のバンドで勝負したいってのがありますね。

●アピールした方がいいよ、ピストンズ。

── ナス:そうですね。もうバンバンやっていこうかなと。ずっと作ってた段階なんですけど、これでは出たくないなっていう感じのがずっとあって、今はだいぶ完成してきましたね。

●話は変わって、一番好きなバンドは何?

── ナス:基本的に、ラモーンズ・テイストがあるポップ・パンク・バンドは大好きですね。日本のヘッドバンガーズも大好き。それをリリースできるのは凄い幸せなことです。ダウンピッキングやるバンドはマッハ以来見てない。

●日本のバンドに凄い影響を受けているんだね?

── ナス:こだわり持ってる日本の人が多いですね。アメリカ人とか凄いいい加減じゃないですか。

●いや、別にそうは思わないなあ。バンドによるんじゃない?(笑)

── ナス:(笑)。クイヤーズとかスクリーチング(・ウィーゼル)とか・・・。

●ラモーンズの映画(『エンド・オブ・ザ・センチュリー』)は観た?

── ナス:広島では上映しなかったんで、12月ぐらいに、ディスガスティーンズとヘッドバンガーズのメンバーと渋谷へ観に行きました。革ジャン軍団で行ったんですよ。

●私達はあの場で働いていた。あのマーキーの行進企てたの私(笑)。映画観た後はどう思った?

── ナス:・・・まぁ、映画だし、みたいな。別に知りたいとこではあったけど、知ってしまえば、そういうのもあるのかな、みたいな。

●結構残念な感じ?

── ナス:ちょっと残念なところもあるし、そういうもんかなっていうのもあるし、自分もバンドやってるんでわからないでもないところもあるし。それより、間に挟んであった演奏の映像とかの方にもの凄い目がいった。「リッチーは、こんなにかっこよかったんだ!」とか、あまりにもリッチーの映像がないんで。そんな感じですね(笑)。

●東京にはよく来るの?

── ナス:来るようになりましたね。Ohnoさんとのプロジェクトで。でも、四ツ谷のスタジオばかり(笑)。

●活動は、広島がメインなの?

── ナス:そうですね。広島ばっかりですね。でも出ようかなとは思ってます。東京にもガンガン出たい。

●いままで東京では何回ライヴやってるの?

── ナス:今日で2回目です。話はいっぱいあるんですけど、結構選んでしまう。しょうもないやつは出たくないみたいな。遠くまで来て出てもしょうがないだろって・・・でも、注目を集めないと。

●ぜひぜひ。もっと出てきてください。

── ナス:はい。でも、ギターが妻子持ちなので、経済的な問題もあって無理は言えない。今回も自分で違うバイトしてお金貯めて来てました。

●目標は早朝ピストンズを売るしかない!

── ナス:そうですね、次の作品はちゃんと売らないとですね。

●ところでライヴを見るとドラムにほかのメンバーが引っ張られている感じだった。Ohnoさんがいると華があるしラモーンズの曲は鍛錬されてるし、Ohnoさんに目がいくじゃない。でもDUMBの場合はナス君のドラムが強力なバック・アップになってるよね。リズムがエイト・ビートでラモーンズ・テイストだから懐かしいっていつも思うよ。やっぱ上手じゃないとエイト・ビートはダメなんだな。

── ナス:めちゃくちゃ研究しましたからね(笑)。聴くのももちろんですけど、見て、グリップですね。ラスト・ライヴのビデオとか、横から撮った結構いいショットだったんで、あれはかなり勉強になりました。あと、ドラムのセッティングは、僕はモロ、マーキーですね。ハイハットもこのへんにセットして(と手を高めにあげる)、ライトも低いとこで。こうなんですよ、マーキー(ナイフを持って真似する)。僕はこれ。

●そう、そう、そう、そう! いつからそういう風にしたの? ビデオ見てから?

── ナス:そうですね。あと、トミーも研究しました。ハイハットの使い方のセンスが凄い! あとは全然たいしたことないですけど。閉めるところでちゃんと閉めて、開けるところで開けるみたいな。僕の想像ですけど、たぶんマーキーも絶対に研究しましたね、あれは。

●トミーはマーキーに代わる時、ツアーで疲れて辞めたんだけど、マーキーにいろいろ教えたらしいよ。今度マーキー来日したらにナス君、直接聞いた方がいいよ。Tsukasa氏が「俺がジョニーを伝える」って言ってるようにナス君が「継承する」ってマーキーに伝えた方がいい。トミーは、ラモーンズで大事なのはここだっていう、60分のライヴの中で叩くにもいろいろあるんだって。こうしないと60分間のラモーンズ・ライヴは成立しないっていうのを全部マーキーに伝授した、と。マーキーは、それが凄い大事なことだったって言ってる。だから、ナス君、それを全部マーキーから聞いておいて。継承よろしく(笑)。そうすれば私達はずっと楽しい、と。

── ナス:僕、『エンド・オブ・ザ・センチュリー』を観てて、「ドラムなんか、トミーなんかどうでもいい」みたいな言われ方をしてて「えー!」と思ったんですけど、一番救われたのは、最後にマーキーが授賞式で「トミーのおかげだ」みたいなことを言ったシーン。凄い救われました。

●それ、すごいわかる。CJも認められてない。

── ナス:そうですね。

●ラモーンズがCJのことを認めなかろうと、リッチーのことを認めなかろうと、あの2人がいなかったら出来てない!

── ナス:バンドですからね。

●この2人がどれぐらい大事かっていうのは、カイチョーが本で書くでしょう(by goofy)。

── ナス:CJがソロで来日した時、見に行きましたよ。確かに演奏とかはダメだなぁと思いましたけど、CJがおるだけでいんですよ。

●あ、それは甘いなぁ(笑)。

── ナス:まぁ、CJがやるバンドってあまり冴えないじゃないですか。ロス・グサノスの曲とか全然記憶にないんで(笑)。でも、CJのあのカウントを聞きに行ったみたいなもんですよ。ディー・ディーの来日公演も見に行ったんですけど、僕はカウント聞けるだけで、もうOKなんです。

●それはよくわかる。

── ナス:演奏ぐちゃぐちゃですけど、まぁ、いいっすよ全然。

●若い子たちによく言われる。「演奏ひどくても、俺たちは見れるだけ幸せなんですよ」って。年が10才違うだけでこんなに違うのかっていつも思うよ私は・・。

── ナス:演奏とかボロクソですけど、あの1-2-3-4でOKなんです(笑)。

●マーキーのドラムから学ぶところは何?

── ナス:エイト感・・・マーキーは『ロード・トゥ・ルーイン』から参加で、あのドラムが大好きなんですけど、まだ完成されてないですよね、エイト・ビートが。すっごい必死でやってる感じなんですよ(笑)。意外と『プレザント・ドリームス』とか、あのへんのドラムも好きなんですよね。ダラダラしてるようで、ちゃんとやってるなぁって。

●リッチー・ラモーンはどう?

── ナス:リッチーの手癖があんまり好きじゃないですね。あの「デュランゴ95」のドラムとか、独特じゃないですか。僕のエイト・ビートって、マーキーのツツツツツツって波のないヤツなんですよ。メチャクチャこの形まで研究しましたからね。マーキーってここ(腕を触る)が動かないんですよ。

●腕を動かすのは無駄な動きだって言ってたよ(笑)。

── ナス:で、あの叩き方を真似したら、本当に叩けるんですよ、速いエイト・ビート。

●次にマーキーが来日したら、ぜひ対談を!(笑) ドラム・マガジン誌にやってほしいね。

── ナス:『ドラム・マガジン』にモノ申したい! 前にエイト・ビート特集を組んでいたから何も考えずに買ったら、マーキーが載ってなかったんですよ。「なめとんな!」と電話しようと思った時がありました本当に。「コイツ誰や?」みたいなページでした。

●色んな人に自分をアピールしないと!

── ナス:そうですね。でも、ここ一年ですよ、何か完成されてきたなぁって自分で思うのは。自信がついてきたとこもありますね。

●それはいいことです。Tsukasa氏もナス・ラモーンも、どんどん完成されていくといいと思います。次は頼みますね、マーキーとの対談。

── ナス:いやー、対談したいです(笑)。

●マーキーのいいところが全部ここに継承されないと、死ぬ前にやらないと、みんな死んじゃう!

── ナス:僕、マーキーと全く一緒のドラム・セット持ってます。ラスト・ライヴで使ってたパールの同じセットを特注して買ったんです。シルバー・スパークリングってきらきらしたのに黒の輪っかなんですよね。ハイハットも同じヤツ!(笑)

●パンクやエイト・ビートって存在が弱いんだけど、まずはナス君が広島だけで地味にやってないで、もう少し日本中に知れ渡ってほしいね私達の希望としては。エイト・ビートの良さを広めてほしい。

── ナス:そうですね。エイト・ビートが出来れば何でも出来ると思うんですよ、僕は。基本ですね。エイト・ビートが出来れば、ハードコアでも何でも出来ますよ。

●名言だなあ。ところでDUMBが終わったらどうやってラモーンズを継承していくの?

── ナス:ピストンズは、エイト・ビート・バンドという感じにはなっていると思うんで、それを打ち出していければいいなと。本気のエイト・ビートは、ピストンズでしか叩いてないですよ。今日のDUMBももの凄い抜いてました。ラモーンズって抜けるんですよ。これ、たぶんマーキーの妙だと思うんですけど、もの凄い研究しましたからね(笑)。

●アルバムはまた自分のレーベル(DUMBレコーズ)から出すの?

── ナス:はい。

●そのレーベルで、他には何を出してるの?

── ナス:今度、ヘッドバンガーズを出すぐらいですね。

●なぜ日本のガレージ系バンドってメジャーにいけないんだと思う?

── ナス:ヘッドバンガーズはいろいろ話があったのに断ったみたいで。こだわりがあるからじゃないすか? 「信用できない、わかってないヤツには売ってほしくない」って。昨年対バンした時に、「レーベルやろうと思ってるけど、ウチじゃダメ?」って話してみたら決まり。今回のアルバムは凄くいいっすよ。ジョニーのダウン(・ピッキング)感がもの凄い出てますね。オール・ダウンみたいな。ピストンズは速すぎるからダウンじゃない(笑)。ヘッドバンガーズが初期のラモーンズで、ピストンズが後期のラモーンズみたいな感じだなと、僕は思ってます(笑)。

●次のピストンズのリリースはいつ?

── ナス:演奏と歌を録っただけなんで、今からミックスしてたら夏ぐらいになりますかね。

●何年ぶりの作品?

── ナス:4年ぶりぐらい。

●でも完成された音を聴けるってことで。

── ナス:はい!

●初めて体験したラモーンズ・ライヴのファースト・インプレッションは?

── ナス:前半は、「電撃バップ」ぐらいまでしか記憶ないですね。興奮しすぎて(笑)。

●メンバーに会ったことはある?

── ナス:ないです。雲の上の人です。

●やっぱりマーキーばっかり見てるの?

── ナス:いや、あの時はジョニー側にいたんですけど、ジョニーのギターばかり見てました。あのボロボロのモズライトがすっごいかっこいいなって。マーキーはあんまり見てないですね、その時は。でも、凄いズレてたような気がしたんですけど、もたってて(笑)。『アシッド・イーターズ』が出た頃だったんで、「セブン・アンド・セブン・イズ」がもの凄い遅れてた。しんどそうだなって(笑)。

●最近何聴いてる?

── ナス:ポーグス聴いてますね(笑)。ライヴ見たいなと思うけど、なかなか行けない。あとはクラッシュも好きだし、最近のバンドは・・・自分の店で、ポップ・パンクのバンドも扱ってるんで、いっぱい聴きますけどね。アメリカ、ワイオミング州のティーンエイジ・ボトルロケットって知ってます? メロディがもの凄いいいですよ。

●海外のバンドとの交流は?

── ナス:マッハ・ペリカン(笑)。

●ツアーは?

── ナス:オーストラリアに来てくれって話はもらってます。

●ラモーンズのアルバムでも曲でも、好きなの3曲でも3枚でも(笑)。

── ナス:『ロード・トゥ・ルーイン』がもの凄い好きです。マーキーのドラムもそうだし、曲も好きだし、ギターの音もかっこいい。あとは・・・最初の3枚は抜いてもらいたいですね(笑)。

●ドラムスティックもマーキーと同じだったりするの?

── ナス:それはやっぱり自分の手に合うやつを使ってます。

●太いのと使い分けたりは?

── ナス:腕が壊れる。自分にジャストのやつより、ちょっとウェイトがあるやつを使うとフリが出るんで。

●練習のために腕を鍛えたりしてるの?

── ナス:鍛えたりする方が硬くなって無理だと思う。エイト・ビートには軟らかさが必要。鍛えないで10年やってるんですけど、何もないんで。

●次の10年は?

── ナス:マーキーは50を過ぎてもまだやってますから。

●だけど、だいぶもたついてるよ(笑)。はしょってアレンジして叩くし。えっ、今のやめてくれみたいな(笑)。ラモーンズの代表曲でやられると怒りこみ上げます(笑)。

── ナス:キツイんですよ、エイト・ビートは(笑)。

●あっそう。じゃあ鍛えてよ。今日は貴重な話を沢山ありがとう!

★★

■■■早朝ピストンズ ライヴ情報■■■
2007年7月20日(金)@米子ベリエ
- Tribute to RAMONES リリース Tour w/ DUMB, THE COMIN, etc.
2007年7月21日(土)@広島並木ジャンクション
- SA Beyond I Tour / DUMB Tribute to RAMONES Tour w/ SA, DUMB, CONCRE

インタビュー / FCスタッフ: カイチョー・ユキ&atsuko katagiri
取材場所 / 東京・下北沢ファミレスにて (2007年5月)
撮影 / Yuki Kuroyanagi


テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by (c)yuki kuroyanagi & (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN

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