2013年7月末、フジ・ロックで一番大きいグリーン・ステージで、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたCJ RAMONE。そのフジ・ロックから僅か3日後の7月29日帰国前夜に急遽、都内で行われた『FAN CLUB会員限定・ミート&グリート』でのトーク・ショーの様子を活字で完全再現いたしました ! !  オリジナル・メンバー亡き今、ラモーンズのファンにとって重要な言葉を本人の口から、ここ日本で聞くことができた事そのものが貴重な時間でした。一字一句、しっかりとお楽しみください。


YUKI会長 : まずはフジ・ロックに出演した感想を教えて下さい。

CJ : 凄く素晴らしかったし、とても楽しかったよ。ステージに立てた事はとても名誉なことだし、海外から日本に来るバンドは皆フジ・ロックでプレイしたいと思っている。残念ながらラモーンズとして出演する機会は無かったから、今回のライヴは自分にとって凄く重要なことだったよ。

YUKI会長 : アルバム『RECONQUISTA(レコンキスタ)』から選んだ曲というのはCJにとって想い入れのある曲ですか?

CJ : 『THREE ANGELS』は、JOHNNY 、JOEY、DEE DEEについて書いた曲で毎回必ずプレイしたい曲。この曲は自分がアルバムの中で最も言いたい事でもあって、俺は彼らから多くの事を学んだから、それに対する感謝の気持ちを表している。それだけじゃなく、実際にあの3人がどういう人間だったか、内面的にはどういった人間であったのかを伝えたかった。ラモーンズのメンバーは、多くの人にとっては漫画の主人公のようで、ステージ以外では存在していないんじゃないかと思われがちだけど、本当はそうじゃない。“こんなに素晴らしい人たちだったんだ”という部分も伝えたい想いでこの曲を書いたんだ。

YUKI会長 : セットリストに入ってた『RECONQUISTA(レコンキスタ)』の曲が少なかったけど?

CJ : 他の曲もプレイする予定だったけど、興奮しすぎて『ALOHA OE』と、その他2曲も飛ばしてしまったんだよ(苦笑)。LIVEが終わった後にギターのジョンに(ソーシャル・ディストーションのメンバー)「他の曲はどうした!もっとプレイするはずだったろ?」と言われるまで気付かなかったんだ。





   


YUKI会長:最後の『PINHEAD』で“GABBA GABBA HEY”看板が100本位上がってましたが、あれを見た瞬間はどうでした?

CJ : ラモーンズに対する素晴らしい敬意の表し方だと思うしとても楽しかった。ラモーンズのステージ以来あまり見る機会は無かったし。

YUKI会長 : 当日PINHEAD役だった私は、『ALOHA OE』が終わったら出ろと言われていたけど、曲順が変わったんで緊張しました。

CJ : 俺も緊張していたんだ。眼鏡も無かったからセットリストが見えなかったし。





KATCHIN' : セットリストのラモーンズ・ソングは、選ぶ基準があるんですか?

CJ : 自分がプレイしたい曲やオーディエンスが喜ぶエキサイティングな曲が選ぶ基準だけど、自分はラモーンズがなかなか演奏しなかった曲もやりたいんだ。例えば『I WANNA BE YOUR BOYFRIEND』、『HERE TODAY , GONE TOMORROW』、『WHAT'S YOUR GAME』とか。
その中でもFUJI ROCKでは『I WANNA BE YOUR BOYFRIEND』を選んだ。RAMONESの初期の曲には、優れたポップ・ソングや素敵なラヴ・ソングが沢山ある。でも、JOHNNYがバンドの音をもっとタフでヘヴィーにしたかったから、そういった曲はあまりセレクトされなかった。自分がファンだった頃に好きで聴いていたのが、初期のポップ・ソングだったからプレイしたいんだ。

YUKI会長 : 多分、(フジ・ロックのステージでは)緊張して聞こえてなかったかもしれないけど、私が居たフォトピットから聞こえたのは『SCATTERGUNやって』とか、CJの曲をリクエストしていたオーディエンスもいましたよ。

CJ : (気持ちは分かるんだけど)今は自分の好きな曲をプレイしたい。自分がバンドをコントロールして自分が演りたい曲、聞きたい曲をやりたいんだ。

YUKI会長 : あの頃の自分の曲は嫌いなんですか?(笑) CJ RAMONEがラモーンズのメンバーになった頃からファンになった人も多いから、その世代のファンはCJの曲は大事だと思うんだけど…

CJ : I Undersatnd(笑)今後はプレイするかもしれないと言っておくよ。





YUKI会長 : この際だから聞いちゃうんだけど、どのアルバムが一番好きですか?

CJ : 最初の4枚はどれでも好きだよ! トミー・ラモーンが去ってから色んなプロデューサーと組んだ。フィル・スペクターと組んだ時も曲は良いんだけど、音作りが良くなかったと感じていた。みんな知らないかもしれないけど、JOHNNYが実際に僕に教えてくれたことがあって、それはRAMONESはトミーが何もかもクリエイトしていたということ。トミーがバンドを作り、サウンドを作り、革ジャンにジーンズというスタイルも彼が決めた。だから、そのトミーが脱退してしまってから彼らはある意味、方向性を見失ってしまった。トミー脱退後もスタイルは維持していたけど、音作りの面では自分の好きな方向ではなくなった。だから音に関して言えば、どのアルバムが好きと聞かれたら最初の4枚の中から1枚を選ぶよ。

KATCHIN' : メチャ深いな~!

YUKI会長 : 深い深い。もうちょっと軽い話をしよう(笑)

KATCHIN' フジ・ロックではモズライト会社、フィルモアから譲り受けたシルバーのモズライト・ベースを使用してましたが、それは何故ですか?





CJ : このベースは前回の来日時に盗難に遭ってしまって、FILLMOREの遊佐社長から好意で貰ったベースなんだ。シリアルナンバーも“CJ001”と刻印されていて自分にとって凄い思い出のあるベースだ。日本での良い思い出が詰まった愛着のあるベースと言えるよ。だからフジ・ロックが決まった時にこれを使いたいと思ったんだ。ベースをくれた遊佐社長へお礼の気持ちを込めてね。このベースを使うというのは自分にとって大事な事でもあるんだ。外観もかなりカッコ良いしね。自分が今まで見たベースの中でも、最もカッコ良いベースだよ!

KATCHIN' : 良い人だなぁ(自分のベースが)盗難にあった事を良い思い出と言えるんだもん。

YUKI会長 : みなさん拍手!軽い話にしようとしたけどまた重くなったね(笑)。それでさらに重くなるかもしれないけど、私はこの写真を撮った時に(CJが1人ヘッドフォンを付けてリハーサルをしている姿)こういうとこもラモーンズを継承しているんだなぁと思った。ラモーンズ時代もこの様に楽屋でリハーサルをやっていたんで、本当に色んな所からCJがラモーンズを継承している姿を感じます。

CJ : ラモーンズ時代にはショウの前にはいつも集まって5曲から10曲は一緒にリハーサルをしてたので、今もそれをやっているんだ。実はヘッドフォンを通してやれば、JOHNNYとJOEYと一緒にプレイしている気持ちになれる。ステージに上がる前にJOHNNYとJOEYと一緒にプレイする事は自分にとって、とても特別な瞬間でもあるんだ。

KATCHIN' & YUKI会長 : ああ、また深い話に…(と頷く。会場も静まり返っている)

KATCHIN' : CJ RAMONEとしてのバンドの正式なメンバーというのは今後どうなるんでしょうか?今回はSOCIAL DISTORTIONのメンバーがプレイしていたけど、正式なCJ のバンドのメンバーというのはできる予定はないのですか?


CJ : 正式なメンバーがいるバンドを作るのはなかなか難しいんだ。それよりも自分のバンドをやりながらラモーンズに対して凄く大きな敬意を持ってくれているミュージシャンとプレイしていた方が良い。今回一緒にプレイしたSOCIAL DISTOTIONのメンバーもラモーンズに対して大きな尊敬の念を持ってくれていて、曲をプレイする事に対しても敬意を表しながらプレイしてくれている。

YUKI会長 : なるほど。どうも今日は質問が重くなってしまうね(笑)でも、CJの本心であるし、凄く大事な事を正直に彼の声で聞ける機会はなかなかないので感謝したいです。

CJ : ファンの皆に分かってもらいたいのは自分がこうやってラモーンズの音楽を演奏し続けるのは、それで簡単にお金が儲けられるとか有名になれるからという事では決してないんだ。ラモーンズが残してくれた多くの遺産(曲)に尊敬の念を持って継承したいからプレイしているし、それに自分も皆と同じように、ラモーンズのファンなんだよ。自分がラモーンズに抱いている尊敬や愛情の想いは同じなんだ。JOHNNYは「ファンをガッカリさせるな」と常に言っていた。だからこうゆう場で話すことによってファンの皆に自分の気持ちを理解してもらうのはとても大事なことなんだ。

YUKI会長 : 勿論、理解してます。本当に今日は有難うございました。日本のファンは今後もサポートしていきます!

CJ : (拳を突き上げて) THANK YOU!!





このトークの後、サプライズで、「here today gone tomorrow」「sitting in my room」「tree angeles」をアコースティックで披露。一瞬言葉につまり、見せたCJの涙は演出ではなく、ラモーンズのメンバーではあるが、自分もラモーンズのファンだと言うCJの正直な気持ちが現れた瞬間だった。ファン・クラブの会員を相手に話す表情は、取材でマスコミ相手に話す時とは違う。話す内容もオープン。だから逆に「緊張する」そう。マーキーのスタイルとは違う彼のリスペクトの方法は、不器用でビジネスとは無縁だ。そして最後の末っ子ラモーンとしての生き様を日本で目に焼きつけられるチャンスはそう多くはない。その貴重な声をここ日本で聞けたことは本当に有意義な時間だったと思う。CJに感謝したい。


   



通訳:迫田はつみ
撮影:ライブ・sumie、yuki kuroyanagi (RAMONES FAN CLUB JAPAN)、Teppei(★)
協力:SHIBUYA-HOME.、KATCHIN' (Disoscillators)
取材サポート : もにゃこ(RAMONES FAN CLUB JAPAN)、ヤーボ・ラモーン(東京ラモーンズ)、SHIN


2013.09.17


テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan ©RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by ©yuki kuroyanagi & ©RAMONES FAN CLUB JAPAN

記事及び写真の無断転載を固くお断りいたします。

 





 



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