この記事は、2012年11月にモズライト・ギター60周年記念式典で来日した際に、ファン・クラブのイベントで話したトーク・ショーでのインタビューです。アルバム『RECONQUISTA(リコンキスタ)』に収録されている亡くなったメンバーのことを歌った『THREE ANGELS』を書いたいきさつなども語っている貴重な内容です。



●初めて日本に来た時の印象を思い出して教えて下さい。

C J : 六本木の思い出はマズイのでこれはちょっと話すのをやめておくけど(笑)、いろいろ思い出はあるよ。日本でツアーをするときは電車に乗ったりもしたんだ。駅に着くとファンが食べ物やいろいろなものをプレゼントしてくれた。アメリカのファンは同じような状況でツアーをしていても、ミュージシャンという者はみんな怠け者でちゃんとした職業にも就いていない人っていうイメージで扱われていたから、出迎えや贈りものをくれるという行為はまずない。だから日本はとても思いやりがあると感じたことが1番記憶に残っているよ。

 

●ジャパンツアーの思い出ベスト3を上げてください。

C J : まず1つ目。最後のツアーの時はファンが感情を盛り上がらせていて、これまでに味わったことが無いような豊かなエモーショナルを経験することができた。あれは本当に忘れられないな。たぶんみんなはエキサイティングな思い出を語ってくれると期待しているかも知れないから、これから俺が話す話は退屈な話かも知れないけど、2つ目は、俺にとって一番大切なことでベスト3の全部に共通していることは、ファンと一緒にいることや、新しいファンと出会う事、地方やローカルなクラブでファンと一緒の時間を過ごすということなんだ。俺にとってはそれはすごく大切で意味のあることだった。
3つ目の思い出は、同じ時にサウンドガーデンも来日中で、サウンドガーデンのクリスとベン達と一緒に飲みに行った。ジョニーはめったに外出して飲むなんてことはないのに、その日はたまたま一緒に出掛けて酔っ払ったんだ。彼は常にその場を仕切ってコントロールするのに、この日ばかりはそれが出来ずお手上げ状態だった。ホテルに戻ろうとしても街中にいっぱい人がいて、タクシーも捕まらず戻ろうにも戻れない状態で大変だったよ。さらにホテルのロビーまでは戻ったが、みんな酷く酔っていたので部屋にたどり着けず(笑)。これがベスト3の思い出かな。


●一緒にツアーをしていたのは、ジョニーとジョーイとマーキーでしたが、3人について今思い出すことをひとつだけ教えて下さい。

C J : メンバーは自分にとっては家族のような存在だったので、ひとりひとり違う思い出があるが、ジョニーについていえば、以前も語ったことがあると思うけど、父親みたいな存在だったので、人生のあらゆるとこを教えてもらった。彼は先生であり父親だった。ジョーイは友達という存在だったよ。いろんなことを一緒にやったし、ジョーイは複雑な性格の持ち主だったけれども、俺とジョーイは複雑な関係はなくシンプルに一緒に行動が出来た。そういう意味では仲間と思えることもあった。マーキーは…(一同笑)、ツアーをやっている時は問題が起きたり大変なこともいっぱい起きたけど、ユーモアのセンスもあり、状況が厳しくなった時に冗談を言って場を和ませてくれて、ジョニーとジョーイとは違った意味でバンドにとってはなくてはならない大切な存在だったと思う。正直な印象です(と、片手を挙げて誓う)。



●日本盤のリリースも決定したアルバム『RECONQUISTA』という言葉はスペイン語で、『リ』は再び・アゲインという意味、『コンキスタ』は征服する、なぜ”再び征服する”という意味なのですか?

C J : 俺は歴史の本を読むのが好きで、この『RECONQUISTA』はカトリックの人たちがイスラムの人によって取られてしまったいろいろな物を取り戻す、そういう時代がありカトリックがどうのということではなく、『取り戻す』という言葉か頭に残っていた。考えてみたら自分は長いことバンド活動から離れ家族も持ち、他にさまざまなことをして音楽から遠ざかっていた時もあった。でも再び音楽に戻ってきて、ミュージシャンとしての自分を取り戻す・自分の気持ちを取り戻すということがこの言葉に重なると思ってこのタイトルを選んだんだ。これまで俺は何枚かアルバムを出してきたけれど、 それは他のミュージシャン作ったアルバムだったから、全てを自分の書いた曲でまとめるわけではなかった。でもこのアルバムで初めて全曲自分で書いたという意味で今までとは違った。


●レコーディングメンバーについて教えてください。

C J : 80年代から活動しているカリフォルニアのパンク・バンド、Adolescentsのスティーブ・ソトが中心になってこのアルバム制作に参加してくれた。実はこの作品のレコーディングは2度しているんだけど上手くいかなかったので、再度レコーディングに挑戦し、積極的に関わってくれた。そのスタジオも南カリフォルニアのスタジオを彼がみつけてきてくれた。これにメンバーみんなが無償で参加してくれてエゴのぶつかり合いもまったくなく本当に良い状況でレコーディングができた。そういうことでこの作品は満足できるアルバムに仕上がった。レコーディングした状況もビデオに撮ってあるので、それはいずれみんなが見ることができると思う。


●このアルバムの中の『スリー・エンジェルス』という曲は亡くなったメンバーのことですよね。これを書こうと思ったきっかけを教えて下さい。

C J : もちろんこの3人は亡くなったラモーンズのメンバーたちのことで、ずっと彼らに敬意を表す曲を書きたいと思っていた。でもなかなかうまくいかなかったんだ。そんなある日、子供たちを学校に送った帰りの車の中で、突然曲と歌詞がひらめいた。自分でもどうしてそんなに突然曲が生まれたのかわからないが、運転中の車を止めて、すぐに書き留めた。ぴったり合うものが出来て、家に帰って完成させた。そういう経験は初めてで不思議だけれども、自分が書きたいと思っていた曲がそこに出来あがっていた。そういう形でこの曲が出来た。それに、このアルバムはラモーンズに対するトリビュートのアルバムで、実際には3回レコーディングしたけど、1回目も2回目も満足が出来なくて3度目のレコーディングでようやく誇りを持ってラモーンズに捧げられると呼べるアルバムが完成したんだ。だから俺は、この作品をラモーンズの最後のアルバムと呼んでもいいと思っているんだ。


●歌詞の中で、ディーディーの事をブラザーと呼んでいますが、兄弟のような関係だったのですか?

C J : ラモーンズとは別に、実際ディーディーとマーキーと3人で活動していたことがあり、ディーディーのことはよく知っていて兄弟と呼べるような存在だった。彼は魅力的なイイ奴だった。ディーディーが亡くなった時に、ディーディーに対する別れの言葉を誰が言うのかという話になり、他のメンバーの可能性もあったんだけど、葬儀の時に神父様が「CJがその言葉を述べるべき」と言ってくれて自分がその役を引き受けたんだ。

 

●10年経ってこうやって今ラモーンズを歌おうと思ったきっかけを教えて下さい。

C J : オリジナル・メンバーで自分にとって父親的存在のジョニーが亡くなった後、ラモーンズは、いろんなところからとやかく言われた。そのほとんどが否定的なことばかりだった。自分にとってはラモーンズは本当に大切なバンドだったし、バンドの真実を知っていたからそんな嫌な噂を聞くたびにとても悔しい思いをした。そうじゃないんだということを、なにか形に残そうと思って「何故みんな否定的なことを言うんだろう」と妻に話したら「そう思っているなら、あなたはそれについて何かやらなければいけないんじゃない?」と言われて「ああそうだ。自分にも出来ることがあるはずだ。ラモーンズやメンバーの素晴らしさを伝えていかなければならない」と思ったんだ。それが一番の理由だった。他には2009年に自分がラモーンズに加入して20周年だったというのも大きな理由になったし、ダニ エル・レイたちが参加してくれてラモーンズの曲をやろうよと言ってくれたのもきっかけになったんだ。

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以上、このインタビューは、2012年11月に来日した際のトーク・ショーの様子を誌面で再現しました。
2010年の来日、2012年の来日共に、ラモーンズの曲を演奏している活動の理由は「ラモーンズの音楽を継承すること」と言い続けてきたCJ。CJの気持ち、そしてワールド・ワイドなツアーや活動が、1980年代からラモーンズを招聘してきたスマッシュ・コーポレーションに届き、2013年のFUJI ROCKの1番大きいグリーンステージでのプレイに繋がったと思うのです。最後に新作『レコンキスタ』に収録されている「Low On Ammo」の歌詞を書いておきます。GABBA GABBA HEY!


【彼らがいなくなって時間が過ぎ、日が経ち、ハゲタカ達が集まってきた
オレの仲間の悪口を言うために。彼らの罪をあげつらうために、
だからオレは立ち上がって言うんだ。デマを正すために。
オレは黙ってられるタイプじゃないんだ。ヤツらはすぐにオレの気持ちに着火するから
ヤツらのウソには我慢ならない。もうこの街で仕事しようなんて思ってないよな

今は気分がすごく堕ちてる。すごく堕ちてる。そうさ 堕ちてるんだ。
もうどうしていいか解らない。生きていく気力がない。落ち込んでるんだ。
ガンガンに落ち込んでるんだ。失うものはもう何もないけど、でも生きていかなきゃいけない

オレが友達だと思ってた人達でさえ、オレを失望させようとしてる。
もうこんなのはゴメンだよ。ヤツらがクールエイドを飲んでる間に、ウソまみれの歴史を書き換えてやりたい
オレはただ仲間達の旗を高く降りたいんだ。

フェイドアウトしていく信頼関係。金も、弁護士も、そして欲望も
そんなことじゃオレは失望しないさ。だけど頼むよ、友達なら
仲間に手を貸してやってくれ。だってジョニーもジョーイもディー・ディーも
オレ達の仲間じゃないか。彼らのスピリットは永遠に消しちゃいけないんだ】


通訳:林洋子
撮影:ライブ・sumie、yuki kuroyanagi (RAMONES FAN CLUB JAPAN)
協力: SHIBUYA-HOME.
取材サポート : もにゃこ(RAMONES FAN CLUB JAPAN) / ヤーボ・ラモーン(東京ラモーンズ)


2012.11.05

テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by (c)yuki kuroyanagi & (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN

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