大変長らくお待たせしましたー! ! (ホントに待たせすぎました・・・ごめん)。FC JAPANが遂にLAに行って来ました! ! ラモーンズがライヴ・デビューしてちょうど30年。久しぶりの生音で聴くラモーンズ・ソングにスタッフ一同大興奮。やっぱり原曲がいいから、カッコイイ! ! と思う反面、ヘンリー・ロリンズが歌うあのポーズ( ! )でのゴリゴリ・ラモーンズには大爆笑。そんな様々な人達の、それぞれのラモーンズとこのショウに対する、強くて熱い想いを体と心で十分すぎるほど感じられ、とても暖かい気持ちになれたイヴェントでした! ・・・みんなもリポートを読んで同じ気持ちを感じてくれればいいなあ・・・と思います。HEY! HO! LET'S READ! !

2004年9月12日(土)。ロサンゼルスのハリウッド(映画スターの星の手形で有名なあの通り)の少し奥に入ったところにあるライヴハウス、アヴァロン・シアターにスタッフ2人と、今回、音楽雑誌『クロスビート』で原稿を書くためになんと自費で渡米されたという大谷編集長と共に到着。スタッフのatsukoは、本日のショウと同時に開催されるラモーンズ・グッズを並べ尽くしたラモーンズ・ミュージアム「エキシビション」の会場を作る為、アートゥロ・ヴェガ(ラモーンズのアート・ディレクター)の手伝いに朝7時から大忙し。そしてFC JAPANのスタッフでもあり、カメラマンが本職のYUKIも会場やそんなグッズの撮影に大忙し・・・と始まる前からFC JAPANスタッフは今回のショウを企画したヴェガと共にフル活動。

会場は、8年前にラモーンズがラスト・ショウを行った所と全く同じ(名前がパレスからアヴァロン・シアターに変わっただけ)で、会場の前にある8年前に食べたおいしい中華屋もまだある(笑: 今回は残念ながら忙しくて食べられなかったけど)。そうこうしているうちに毎日ぽわんっと暖かいLAも夕陽に包まれてきて、だんだん会場まわりには、ラモーンズTシャツを着たファンが集まり出す。



と、同時に会場のすぐわきにある楽屋への入り口には、なんとレッチリのアンソニーやフリーが歩いてくるではないかー! 続々とリハーサルの為にやってくるランシドのティム・アームストロング&ガールフレンド、バッド・レリジョンのブレット・ガーヴィッツなどなどを発見しエキサイト! (ここはLAなんだぁ! )というのを改めて感じたのでした。

夕方5時からは、ラモーンズ・グッズを並べ尽くしたエキシビションが会場の中2階の外庭みたいな場所でスタート。上を見上げると空。さすがLAだけあって屋根がない場所でのエキジビションも可能なんだなあと妙な所で納得。チケットをもった人のみが入れるその会場では、はるばる名古屋から来たというFC会員の小池夫婦とも再会。エキシビション会場には、これまで制作されたTシャツの一部(なんと90年代の初期に作ったラモーンズFC JAPANのTシャツも飾られていたぞ! )やジョーイの直筆歌詞、1stアルバム裏ジャケのバックルの現物、ジョーイがメガネをとってプールで泳いでいる写真や、リハーサル中の写真、宣材アイテムとして制作された「Beat On The Brat」型小型バット、ツアー・スケジュール表、2002年に授与されたロックンロールの殿堂入りトロフィー、そしてジョニーのモズライト・ギター等々・・・。沢山の写真やグッズなど、ラモーンズ・ファンにとってのお宝がどっさり展示され、集まったファン達やミュージシャン達がじっくり見てまわっていた。



開場時間が近づくと、日本、南米、ヨーロッパと、世界各国のラモーンズ・ファンが入り口に集合。ラジオの中継車やマスコミ関係者も入り口に集まりだし、いやがおうにもエキサイティングな空気が漂い始める。

夜7時半を少しまわり、いよいよショウはスタート。今回このショウの司会進行役のロブ・ゾンビがもちろんラモーンズTシャツを着てステージに登場。今日のイヴェントの趣旨を説明し、最初のバンド、西海岸のラモーンズ、ディッキーズを紹介。この日ラモーンズのカヴァー曲以外に自分達のバンドのオリジナル曲をディッキーズと次に登場するX(エックス)だけは演奏した。
おそらく、これはラモーンズと当日のゲスト・ミュージシャンによるキャリアの長いバンドに対する気のきいたリスペクトなんだろうなあと思った。ディッキーズの登場に、東京公演は必ず毎回全部行くスタッフYUKIは個人的に大盛り上がり(笑)。オリジナル曲「I'm OK You're OK」から「Gigantor」などなど往年のヒット・チューンをプレイながら、ダッチ・ワイフなどいつもの小道具ももちろん使ってガンガンかっ飛ばし、オープニングにふさわしいハイ・テンションでオーディエンスを盛り上げまくってくれた。西のラモーンズだけあって、彼らのプレイするラモーンズ・ソング「Today Your Love, Tomorrow The World」に全く違和感がないどころか、リズムもメロディもばっちりラモーンズの曲にハマッていて「I'm OK You're OK」だったよ。30分弱の演奏が終わると、会場の両側の壁には、ラモーンズの写真や映画『ロックンロール・ハイスクール』の映像を含む、昔のライヴ映像やスライド写真が流されていた。ラモーンズを懐かしむというよりは、演奏しているバンドと一体になって、全てがラモーンズ一色というファンにはたまらない空気が会場中を包んでいて、とてもハッピーなムード。

次に登場したのはLAパンクの重鎮X(エックス)。残念ながら日本では馴染みが薄い彼らだが、このXがステージに登場したとたん、パンクの後輩=ヘンリー・ロリンズやランシドのティムらがステージ袖に現われ、彼らの演奏を拍手とリスペクトの眼差しでじーっと見続けていた姿が印象的だった。XがLAでいかに影響力のあるバンドなのかという事を、来日していないのでそれを実感できなかった私達にも、一瞬で彼らの凄さを納得させた光景だった。彼らもオリジナル曲を数曲プレイし、ラモーンズの「Sheena Is A Punk Rocker」を演奏しステージを後にする。女性ヴォーカル、エクシーン・セルヴェンカのダイナミックな姿と声に圧倒されつつ、しかし包容力たっぷりの風貌と優しい眼差しに貫禄すら感じ、「Xを見られたんだなあ」という貴重な体験だけで既にこの時点で満足してしまった。

再び、壁に映像が映し出されつつステージ上では、ディッキーズ、Xに続き本日のスペシャル・ゲスト、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの登場を控え、何だかクルーも慌ただしい。そのセット・チェンジの間に特別ゲスト、初代ドラマーのトミー・ラモーンがステージに登場。嬉しそうな笑顔でラモーンズ当時の思い出やそれぞれのメンバーの印象をスピーチした。

今回、レッチリはスペシャル・ゲストの扱いだったのに、オリジナル曲はまったくやらず、全曲ラモーンズという滅多に、いや絶対に見られない凄いセット・リストを引っさげて登場。ギターのジョンはポロ・シャツというラフな姿で笑顔( ! )。アンソニーとフリーは初期レッチリを思わせる裸。マイク・スタンドを片手で持ちそのマイク・スタンドの周りをぐるぐるまわり、歌う前から高めのテンションがぴりぴり伝わってきて、見てるこっちも超エキサイティング! ! レッチリはアルバム『ロード・トゥ・ルーイン』の曲を中心に「I'm Against It」「I Wanna Be Sedated」「She's The One」「I Just Want To Have Something To Do」「It's A Long Way Back To Germany」の5曲を演奏。いつも甘いジョーイの声で聴き慣れていた曲が、アンソニーによってじっくり歌われている。「一生懸命歌ってます」という感じが伝わってきて何だか感激。今の彼らはもう既にでかいバンドなんだけど、今日は2,000人も入ればいっぱいの会場でラモーンズ・ソングを切々と( ?! )歌っているって感じだ。ジョンはいつもと違うザクザクのカッティング中心の演奏で何だか不思議。でも滅多に見られないリハーサルでも見ているような感覚でそれだけで嬉しかった。あ、それからドラムのチャドは簡単そうに叩いてたな(笑)。曲が割とシンプルだから? フリーの演奏も凄く簡単そうに聞こえたけど、表情はいたって真剣だったのでちょっと厳粛な気持ちになった。レッチリのプレイは笑顔のジョンをのぞいてみんな必死・・・というか、真剣な表情で演奏していたと思う。それでも、随所で初期レッチリを思わせるアグレッシヴなステージ・パフォーマンスも見られたりして、やっぱり凄くラッキーな体験だった。

10時近くなった所で再び司会のロブ・ゾンビが登場。この日自宅にいて会場に来られなかったジョニーからの直筆メッセージ(カメラマン・ピットというステージ一番前にいたので紙の文字が見えたんだけど、あれはジョニーの字でした)を読み上げた。

「ハイ、ジョニー・ラモーンだよ。俺の親しい友人ロブ・ゾンビにメッセージを読んでもらうよ。
まず初めに、世界中からここに集まってくれたすべてのラモーンズ・ファンに感謝したい。君たちがいなければ、何も実現しなかっただろう。誰もが羨むくらいラモーンズ・ファンは最高だ。
それから、このイヴェントを特別な夜にするために出演してくれたすべてのバンドやゲスト達にありがとうと言いたい。俺は、最高の友達や素晴らしい人生に恵まれているね。俺も参加できればよかったんだが、行けないんだ。みんな大いに楽しんでくれ。」



このメッセージを読み上げたあと、ロブはなんとポケットから携帯電話を取り出しジョニーの自宅に電話。会場のファンが全員で「HEY! HO! LET'S GO!」と「GET WELL!」を電話に出たジョニーに聞こえるように叫びまくった。その後ロブの「聞こえたか? ジョニー?」の問いかけにジョニーがいかにもな彼らしい返事で「ステージを中断せずに続けろ」と言う(注: ジョニーはステージを中断したり集中できなくなるようなハプニングを昔から嫌がりました)。その言葉とともに、ロブが「OK OK いよいよラモーンズだ」と去る。

いよいよこの日のイヴェント、マーキーとCJのリズム隊を軸にした再結成ラモーンズ( !!?? )の為にバック・ドロップのイーグル・ロゴを90年当時に使用していたヴァージョンに、そしてドラム・セットも全てあの懐かしいラモーンズ仕様に次々と置き換える作業がされている。ラモーンズ現役時代にジョニーのギター・ローディーとしてもくもくと働いていたリックも楽しそうにまた働いてる。

まずはマーキーが登場。「行くぞー!」といってドラム・セットに座り、CJもステージに現われた。「ジョニーの為にヤンキースのTシャツにしたんだ」という心優しいべーシーストは、マイクの前に立つと「1-2-3-4 !」のカウントと同時に懐かしい「Durango 95」を掻きむしるようにダウン・ピッキングで引きまくり、「Wart Hog」「Strength To Endure」を立て続けに歌い、会場は一気にヒート・アップ! ! やっぱり「1-2-3-4 !」は今やCJの声で聞くのが一番ぴったりハマるよー! ギターは長年ラモーンズをプロデュースしてきたダニエル・レイ。さすがにジョニーのカッティングは無理だけど(望んではいけないね・・・)、ひさしぶりのチェインソー・ギターに、カメラを持つ手は震え、涙でファィンダーが一瞬曇りました(笑)。4曲目からはルーニーのヴォーカル、ロバート・カーミンが登場、でかい黒のサングラスをかけたまま、「KKK Took My Baby Away」と「Here Today, Gone Tomorrow」を熱唱。ステージの間をあけずに次にピート・ヨーンが登場。「嫌いなのは知ってるけど、俺は絶対にこの曲をプレイするよ! って昨日ジョニーに宣言してきたんだ」と言いながら、しっとりした声で「I Wanna Be Your Boyfriend」と「Don't Come Close」 を歌った。もちろんジョーイの声とは違うけど、それぞれ自分の声と選曲がぴったりで、誰が歌ってもいい曲なんだなあという曲そのものの良さも感じられるパフォーマンスだった。次に登場したのはマイティ・マイティ・ボストーンズのディッキー・バレット。CJの紹介で、革ジャン姿で現われた彼は「Bonzo Goes To Bitburg」を歌う(彼はずっとビットバーグをピッツバーグだと思っていたが、ショウの前日になって間違いを指摘され、歌詞を覚え直した)。太いがっちりした声がこの曲を力強い曲に変えていて、これはこれで新しいイメージだったのと、あまりカヴァーされない曲なのでライヴで聴けてとても新鮮でした。

その次は、バッド・レリジョンのブレットとランシドのティム。今こうやって書いてても(うーん、なんか凄い・・・)と思うこのステージ上のメンバー。ナマで見てる時は もっと圧倒されてました。あきらかに日本じゃない! LAじゃないと見られないよなあ(当たり前だが・・・)と、この場にいられる事に幸せを感じた。「Cretin Hop」をプレイ。そしてここにそのままの流れでパール・ジャムのエディー・ヴェダーが登場。(うーん、ますます凄い!! )と興奮しっぱなしの目の前の状況に興奮しながら、シャッターを押しまくる。エディーは「Sheena Is A Punk Rocker」を実に楽しそうに、ホントに楽しそうに歌ってて、その表情に私達もなんだか凄く幸せな気分になれたのは、彼がジョニーと凄く近い存在であったということも関係しているんだろうなあなどと思ったり(後で書くけれど、エディーはFC JAPANに対し今回とてもよくしてくれたので)、いろんな事を考えながら、エディーとティムが同じステージに立つ姿を目にやきつけたのでした。



そして最後は、あのセックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズがギターを弾き、ヘンリー・ロリンズによるハードコア・ヴァージョン「Judy Is A Punk」「Commando」「Blitzkrieg Bop」三連発。これはもうオリジナルとはほど遠いっていうか、メロディは同じなんだけど歌いっぷりがハードコアで私は大爆笑。いつもの通り体半分斜め前低姿勢で、大股ひらいて「ファースト・ルール・イズ!」と叫ばれると、「何でも従います!」と背筋が伸びました。しかし、その勇ましい姿になんだか笑いがこみ上げてしまいカメラ・ピットで爆笑(ほんとにすみません)。来日公演のアンコールでもラモーンズをメドレーで歌いまくった程、彼は大のラモーンズ・マニアだから、全然不思議じゃないんだけど。でも、そんなヘンリーの力強すぎる歌いっぷりからは、凄ーく凄ーく強いラモーンズへの愛情感じました。ほんとは凄くカッコ良かったのになぜか、笑ってしまいました。ごめんなさい。

このあと、アンコールで再結成ラモーンズが「We're A Happy Family」をプレイし始め、GABBA GABBA HEY! の看板を持ったピンヘッド2人(実は1人はアート・ディレクターのアートゥロ・ヴェガ)がステージに登場し、風船が沢山落ちてきてショウは幕を閉じました。そうそう、私は撮影で見えなかったけど、会場の客の中に映画『ロックンロール・ハイスクール』の場面にも登場した実験ネズミの着ぐるみを着た2匹が混ざっていたらしいよ(笑)。

とにかくこのショウを見に行き、ミュージシャンを始めいろんな「ラモーンズ」で繋がっている人達と交流できた事には、何か特別なものを感じました。ギター・ローディーだったリックも「YUKI久しぶり。元気か?」と声をかけてくれたけど、このイヴェントの一番の良さは、もちろんラモーンズ・ソングを聴けたこと。それに加え、ラモーンズ・ファンという絆だけで結ばれている世界中の見ず知らずの人とすぐに友達になれたり話ができたり、同じ気持ちでいられたりしたこと。初めて会うのに、「君達はラモーンズFC JAPANの人達でしょ?」「君はあのサイトを作ってる誰々?」って感じでみんな声をかけてくれたり、かけたり、昔からの知り合いに会うみたいな懐かしいムードの中にいられ、ホントに楽しかったし何だか幸せでした。そうした空気の中にいられたこと、ラモーンズ・ファン同士の一体感を味わえたことが、今思えば、その後に知る悲しい訃報を少し和らげられた気もしています。

エキシビションを覗きにきていたエディは、私達の質問に「君達がFC JAPAN? 前にアルゼンチンでも会ったよね?」と、まさに外で挨拶し合ってるファンと同じように話しかけてくれ、快く答えてくれました。FC JAPAN特製のトート・バッグをプレゼントすると「ワオ! 本当にくれるの? はやくジョニーに見せなきゃ。ありがとう、ありがとう」とお辞儀をして大事そうに持ち帰りました。実際にショウ終了後、ジョニーの自宅に向かったエディの肩にはトート・バックが下がってました。その時、何となく、(FC JAPANのことはジョニーから聞いていたのかな)と思ったりして。と、いろんな感動に包まれた素晴らしい素晴らしいラモーンズ30周年イヴェントでした。ジョーイ、ディー・ディー、ジョニー凄く楽しかったよー! ありがとう。GABBA GABBA HEY! ! !


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report & photos / yuki kuroyanagi
2004.10.17


テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan ©RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by ©yuki kuroyanagi & ©RAMONES FAN CLUB JAPAN

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